1級施工管理技士補は主任技術者になれる?3年・5年・10年の実務経験要件を解説【建設業の技術者制度 第2部(全4部)】

「1級施工管理技士補=主任技術者」ではありません。3年・5年・10年の実務経験要件をわかりやすく解説

1級施工管理技術検定の第一次検定に合格すると、「1級施工管理技士補」を称することができます。

では、1級施工管理技士補になれば、そのまま建設業法上の主任技術者として工事現場に配置できるのでしょうか。

結論からいうと、1級施工管理技士補になっただけで、直ちに主任技術者になれるわけではありません。 ただし、令和5年7月1日からの制度改正により、対応する検定種目の1級第一次検定合格者については、一定の実務経験を積むことで主任技術者等の要件を満たせるルートが追加されています。

この記事では、「技士補」と「技士」の違い、主任技術者になるための基本ルート、3年・5年・10年の実務経験、そして監理技術者補佐との違いを順番に整理します。

目次
  1. 1級施工管理技士補とは
  2. 1級施工管理技士補は主任技術者になれる?
  3. 主任技術者になるための基本的な3つのルート
  4. 1級技士補は「合格後3年」の実務経験ルートがある
  5. 「1級技士補+3年」なら、どの工事でも主任技術者になれるわけではない
  6. 1級技士補と監理技術者補佐は同じ意味ではない
  7. 第2部のまとめ

建設業の技術者制度|第2部で解説する内容

建設業の技術者制度 第2部で解説する内容

第1部では、営業所技術者・主任技術者・監理技術者の違いと、工事現場に配置する技術者の基本を整理しました。

第2部では、質問の多い「1級施工管理技士補は主任技術者になれるのか」に焦点を当てます。

  • 第一次検定に合格すると何が変わるのか
  • 「技士補」と「技士」は何が違うのか
  • 主任技術者になるための3年・5年・10年の実務経験とは何か
  • 1級技士補の実務経験3年ルートは、どの建設業種に使えるのか
  • 1級技士補と監理技術者補佐は、なぜ同じ意味ではないのか

1.1級施工管理技士補とは

1級施工管理技士補とは

施工管理技術検定は、現在、第一次検定と第二次検定に分かれています。 第一次検定に合格した人は「技士補」、第二次検定まで合格した人は「技士」を称することができます。

合格した検定 称号 基本的な位置づけ
1級 第一次検定 1級施工管理技士補 第一次検定合格者
1級 第二次検定 1級施工管理技士 1級技士。対応業種について主任技術者・監理技術者となり得る国家資格
2級 第一次検定 2級施工管理技士補 第一次検定合格者
2級 第二次検定 2級施工管理技士 対応する建設業種について主任技術者となり得る国家資格

ここで大切なのは、「1級」という言葉だけを見て、1級技士補と1級技士を同じ資格として扱わないことです。

1級技士補=1級第一次検定の合格者
1級技士=1級第二次検定まで合格した者

2.1級施工管理技士補は主任技術者になれる?

1級施工管理技士補は主任技術者になれる?

ここが第2部の一番重要なポイントです。

1級施工管理技士補になっただけでは、直ちに主任技術者になれるわけではありません。

主任技術者になるためには、建設業法上、その建設工事の種類について一定の資格または実務経験等の要件を満たしている必要があります。

一方、令和5年7月1日から、技術検定の1級第一次検定または第二次検定に合格した者については、一定の建設業種において、その検定種目に対応する指定学科を卒業した者と同様に扱い、合格後3年以上の実務経験を有することで主任技術者の資格要件を満たすことができる制度が設けられました。

したがって、正確には、

「1級技士補だから主任技術者になれる」のではなく、
「1級第一次検定合格+対応する建設業種の実務経験など、主任技術者要件を満たした結果として主任技術者になれる」

と理解するのが適切です。

3.主任技術者になるための基本的な3つのルート

主任技術者になるための基本的な3つのルート

主任技術者の資格要件を大きく整理すると、主に次の3つの考え方があります。

ルート 代表例
① 国家資格等 建設業種に対応する施工管理技士、建築士、技術士、技能検定等
② 指定学科+実務経験 大学・高専等の指定学科卒業後3年以上、高校等の指定学科卒業後5年以上など
③ 実務経験 許可を受けようとする建設業に係る建設工事について10年以上の実務経験

このため、主任技術者になる方法は「施工管理技士の資格を取る」だけではありません。学歴と実務経験、または長期間の実務経験によるルートもあります。

そして令和5年7月1日から、この「指定学科+実務経験」の考え方に、技術検定の第一次検定合格者を活用する新しいルートが加わりました。

4.1級技士補は「合格後3年」の実務経験ルートがある

1級技士補は合格後3年の実務経験ルートがある

令和5年7月1日施行の見直しにより、技術検定の第一次検定合格者について、一定の建設業種では指定学科卒業者と同様に扱う仕組みが設けられました。

必要な実務経験年数は、学歴・保有資格・合格した技術検定の種目などによって異なります。

区分 実務経験の目安
大学・短大等の指定学科卒 卒業後3年以上
高校等の指定学科卒 卒業後5年以上
1級第一次検定合格者(1級技士補) 対応する検定種目について、合格後3年以上
2級第一次検定合格者(2級技士補) 対応する検定種目について、合格後5年以上
上記によらない実務経験ルート 10年以上

つまり「3年・5年・10年」という数字は、すべて同じ制度を指しているわけではありません。どの資格・学歴等を入口にして主任技術者要件を確認するのかによって必要な実務経験年数が変わります。

1級技士補 → 原則として合格後3年
2級技士補 → 原則として合格後5年
資格・指定学科等によらない実務経験ルート → 10年

ただし、次に説明するように、「1級技士補なら、どの29業種でも3年で主任技術者になれる」という意味ではありません。

5.「1級技士補+3年」なら、どの工事でも主任技術者になれるわけではない

1級技士補と建設業種の対応関係

この実務経験ルートを利用するときに最も注意したいのが、技術検定の検定種目と、主任技術者になろうとする建設業種との対応関係です。

たとえば、1級土木施工管理技術検定の第一次検定に合格したからといって、建設業29業種のすべてについて「3年の実務経験で主任技術者になれる」という制度ではありません。

したがって、「1級施工管理技士補+実務経験3年」という条件だけを満たせば、すべての建設業種で主任技術者になれるわけではありません。

国土交通省が定める対応関係に基づき、その検定種目がどの建設業種の指定学科相当として扱われるのかを確認し、そのうえで対象となる建設工事について必要な実務経験を満たす必要があります。

確認する順番は、
① 何の1級第一次検定に合格しているか
② 主任技術者になりたい建設業種は何か
③ その検定種目と建設業種が対応しているか
④ その建設業種が、この実務経験要件の緩和措置の対象となる業種か
⑤ 合格後の必要な実務経験を満たしているか
です。

検定種目と建設業種の対応関係や、この緩和措置の対象となる業種については、国土交通省の資料で確認できます。
国土交通省「技術検定合格者の実務経験による主任技術者要件の見直し」

また、実務経験として計上できるのは、対象となる建設業種の建設工事についての経験です。単に建設会社に在籍していた期間がそのまま実務経験になるわけではありません。

実際の建設業許可申請や技術者配置では、資格名だけで判断せず、検定種目・建設業種・実務経験の内容と期間をセットで確認することが重要です。

6.1級技士補と監理技術者補佐は同じ意味ではない

1級施工管理技士補と監理技術者補佐の違い

もう一つ混同しやすいのが、「1級施工管理技士補」と「監理技術者補佐」です。

用語 意味
1級施工管理技士補 1級施工管理技術検定の第一次検定に合格した人の称号
監理技術者補佐 建設業法上、監理技術者の職務を補佐するため工事現場に配置される役割

監理技術者補佐となる代表的なルートの一つが、その工事の建設業種について主任技術者となる資格を有し、かつ、その工事の種類に対応する1級第一次検定に合格していることです。

つまり、ここでも「1級技士補であること」だけでは足りません。監理技術者補佐として配置する建設業種について、主任技術者の資格要件を満たしていることが必要です。

1級技士補=称号・資格上の状態
監理技術者補佐=工事現場で担う役割

この違いを押さえておくと、次回扱う専任特例2号の仕組みが非常に理解しやすくなります。

7.第2部のまとめ

  • 1級施工管理技術検定の第一次検定合格者は「1級施工管理技士補」を称することができる
  • 1級技士補になっただけで、直ちに主任技術者になれるわけではない
  • 主任技術者には、国家資格等、指定学科+実務経験、10年以上の実務経験などのルートがある
  • 令和5年7月1日から、1級第一次検定合格者について対応する建設業種で合格後3年以上の実務経験によるルートが追加された
  • 2級第一次検定合格者については、対応する建設業種で合格後5年以上の実務経験によるルートがある
  • 「1級技士補+3年」は全29業種に一律で使えるわけではなく、検定種目と建設業種の対応確認が必要
  • 1級技士補と監理技術者補佐は同義ではなく、監理技術者補佐には主任技術者資格等の要件もある

次回|監理技術者補佐と専任特例1号・2号を詳しく解説

第2部では、1級施工管理技士補と主任技術者の関係を整理しました。

次回の第3部では、今回最後に触れた監理技術者補佐をさらに掘り下げ、「専任」とは何か、専任特例1号・2号では何が違うのか、連絡員やICT、2現場兼任の要件まで整理して解説します。

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建設業の技術者要件は、資格の名称だけでは判断できないケースがあります。特に技士補を主任技術者として扱う場合には、検定種目、対象業種、実務経験の内容・期間を確認することが重要です。

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